こんにちは。パーソナル美容師の岡田です。
アカデミー賞で話題の「ラ・ラ・ランド」を見て来ました。見た人からは良い良いって聞いてたんで、見る前からハードル上がってたんですが、自分の中では見事その高く上げられたハードルをゆうに越えました。
なので、今日の僕は美容師としてというか、今日は「映画評論家」として書いていきます。
「美容師なのに、映画評論もできるの!マルチな才能持ってる!岡田さんすごい!」
と思われたい一心から、書いてみます。初の試みなので素人のレビューです。ええ、大したことかけません。素人ながら多少はネタバレするかもしれません。
これから見ようと思う人もいるかもしれないので、僕もそこは大人です。大事なところはここでは極力表現を濁したり、匂わせるくらいに描きます。なのでもろもろとご了承ください。
結論から言うととてもいい映画でした。それではどうぞ。
壮大なミュージカルから始まる序章
初めて会う人に対して、初対面の印象って大事ですよね。「つかみが大事」ってことです。
それは映画でも同じことが言えますが、この映画では、序盤から壮大なミュージカルシーンから始まります。
場所は南カリフォルニア(ロサンゼルス)の高速道路(ハイウェイ)。
誰にでも経験したことがあるような、どこにでも起こりうる「交通渋滞」という日常生活を連想させる状況の中から、いきなり全員歌って踊り出しーの、壮大な非日常なュージカルシーンで幕を開けます。
まずは公式ミュージックPVをyoutubeでどうぞ。
「おおおおおおおおお!!!!すげー!!!!」と興奮させられました。
そのシーンで、見た人は「あぁ、これはミュージカル映画なんだ」と思うでしょう。
だけど、以降、ミュージカルがなんの脈絡もなく踊り始めるようなものではなく、要所要所に織り込まれいるだけ。
当然、インド映画のようにいきなり踊り始めるような非日常の繰り返しではなく、日常の中でそれが起こっていって。
最初のミュージカルシーンが壮大ゆえにインパクトが大きいけど、ストーリーが続いていくにつれ、「あぁ、これはミュージカル映画じゃないんだな」という気持ちに戻ります。
これは後でも書いていきますが、この映画にはたくさんの「オマージュ」が含まれて、それが要所要所のシーンで使われています。それはこれまでの名画と呼ばれる「映画」に対してのオマージュもそうだけど、
音楽も「ジャズ」という題材を使うことによって、いわゆる「絶滅寸前」(作中の表現)な事象と、監督が描くこれから「未来」とが対比としていろんな場面で描かれていて。
今までの音楽や映画の「歴史」を作中に出して描くことにより、最後にはそれらのオマージュを綺麗にこの映画に「置き去りにしていく」ことになる。見ていたらそれに気づく人もいるかもしれないな。
あ、遅くなりましたが、もちろん1800円自腹で払って見ています。なので好き勝手言ってます。
四季と色彩の移りゆく見事な演出
冬に始まったストーリーは、春、夏、秋、そして冬。という具合に、四季を巡っていきます。といっても、日本映画のように四季そのものの自然な色彩というものはそこまで強調されていません。
ですが、色彩の演出がとても工夫されていて、ミアの服の色や、色調も見事な演出となっています。
例えば、序盤のミュージカルのシーンで盛り上がった後では、観客が冷静になるような色合いが鮮やかなブルーが使われています。
そして、ひとまずストーリーが落ち着いてからまた、盛り上がるパーティーに向かう仲間たちのドレスには、高揚感の高い原色に近いような色彩のドレスが使われていて、見ている側の気持ちを色彩で誘導するかのような演出が施されています。
そこから一転、二人が天文台で踊るシーンではモノクロの映画を思わせるようなシンプルな色彩で音楽に主役の座を渡したりと、
色があたえるイメージというものも上手に操っている印象を受けました。
この映画は情報量が多い上、いろんな細かい描写も多く、いろんなところに伏線が張られている映画なのですが、細かいところにも面白い演出がされているなと思います。
ミアやセバスチャンのシャツの色一つとっても、その人物の心の模様を韻に次していたり、奥が深いなぁと思いましたね。
映画好きな人は余計に見ていて楽しい。
この映画の「ラ・ラ・ランド」は音楽好きや映画好きな人にとっては、とても楽しいものだと思うけど、
反面知識があるがゆえに生半可には「文句の言えない作品」となっているんだろうな。それはアカデミー賞の審査員も同じことが言えると思う。
これはどういうことかというと、例えば映画の世界で生きる日本人が「世界のクロサワ」の作品を文句を言う人があまりいないのと同じで、
「雨に唄えば」や「理由なき反抗」の時代の作風やオマージュを作中に織りまぜることで、古き良き「懐古主義の映画」の一面が、知識のある人を黙らせてしまうんだろうと。(それが賞レースを総なめにした一因と言われていますしね。)
だけど、逆に考えたらこれは古くからの映画の流れを知っている人こそ楽しめる映画で、きっと子供が見ても大人が見ても楽しめる映画になっているんだと思います。
サイレント映画を彷彿させるシーンがあったり、トーキー映画と「ジャズ」とうまく連想させるシーンがあったり、「映画と音楽」をうまく掛け合わせていてすごく見応えがある。
そもそも「ジャズ」というのも、イメージ的にはもの静かで落ち着いた音楽を想像するかもしれないけど、ジャズの歴史を遡っていくと、ジャズ本来の「反抗」や「自由」という一面にたどり着くはずです。
さらにはそれらの古い時代の映画や音楽の歴史を巡り、それらを最後には全て置き去りにしてしまう。
ミアとセバスチャンの最後のシーンの見方は、男と女としてのそのままの解釈もそうだけど、「古い映画」と「ラ・ラ・ランド」とを描いていると言う解釈もある気がして。
ミアもセバスチャンも、男も女も、映画も音楽も、どんなに素晴らしいものでも、時間が経ってしまえば元には戻ることはない。
そう言う見方もしてみるとまた違った解釈になるかもしれないなー。もう一回見返したくなりました。
夢追い人として描かれるミアとセバスチャン
主役の女優志望のミアとピアニストのセバスチャンの二人の「夢追い人」としてのストーリーなんだけど、これは僕はすごく共感する部分もあったし胸が痛くなるシーンもあった。
子供の頃からの追いかける「夢」と、現実世界の不安定な「リアル」と、夢を持っている人にとってはとても見に迫る思いをして見ている人もいると思った。もちろん僕もその一人だけど。
この「ラ・ラ・ランド」は夢物語が簡単に叶っていくような、それこそ「ミュージカル映画」によくありがちな映画ではなく、普通のよくある不完全な「リアル」のギリギリなラインでストーリーが進んでいく。
そもそもミアもセバスチャンも完璧な二人として描かれてはいない。だからと言って夢を追いかけて「努力」次第でメキメキと成長していくようなサクセスストーリーでもない。
それぞれがお互いの心の中での「覚悟」や「選択」でストーリーが変わっていくというのも、「人間みがあるストーリー」として見るものを惹きつける。
典型的な夢みる男として描かれる「セバスチャン」に自己投影して見てしまった部分があるけど、夢を追いがちな男はそう言う人が多いと思う。
「夢」と「リアル」の境を行き来する中での自分との葛藤や、そこに「愛する人」としての「ミア」の存在。
「ミア」も女優を諦めかけた時に通った映画のオーディションとその後の「セバスチャン」との関係。
セバスチャンの中での「好きな音楽」と「大衆受けする音楽」と言う葛藤も、わかりすぎて胸が詰まった。
「夢を追う」ことと「妥協」の対比も、二人を大きく分けるきっかけになったのではないだろうか。もちろん、どちらが正解なんでものはないんだけど。。。
とにかく、中盤の見どころはミアの映画のオーディションの時の、映画の語り部となって歌うシーン。
これが圧巻で、すごく胸に響いた。ほんの少しの狂気が、人生を楽しくするんだと、柄にもなくすごく感動して泣いてしまった。(いつもだいたい泣くけど)
このシーンだけを見にでも、また行きたい。そのくらい、この映画の中でも冒頭のミュージカルのシーンと同じくらい決め手となるシーンですね。
エンディングはこれでいいんだと思うんだ。
エンディングに関しては、賛否両論。
もちろんここで話してしまうとネタバレになるので、エンディングがどうなのかは見てから決めて欲しいんだけれども、
僕としてはこのエンディングでいいんだと思った。このエンディングがいいんだと思った。
と言うのは、これはこのラ・ラ・ランドが「夢物語」ではなく「今、そしてこれから」の映画で、「ギリギリのリアル」としてほろ苦いくらいがちょうどいい。
「現実は映画のように甘くない。」そう言っている気もした。モヤモヤする反面、見終わった後にあれこれ考えさせられる「余白」がある映画というのは、さもして「いい映画」であるともいえると思う。
わかりやすく、必ず最後に正義が勝つようなアクションヒーローものの映画とは違い、現実世界での正義は、二人には二通りの「正義」があるし、それがどちらも正解ではない場合さえある「不完全なリアル」を伴っている。
それでも続いていくのが「リアル」な人生でもあって、その一つのストーリーとして美しい映像と素晴らしい音楽とともに綴られた物語がこの「ラ・ラ・ランド」なのかなと思いました。
ラストの回想のシーンがあるのですが、あれがミアの夢なのかセバスチャンの夢なのか。僕は初見はセバスチャンの「夢」なのかと思ったけど、ミアとしての「夢」としても成り立つところが憎い演出です。
出会った時にこうすればよかった。あの時こうしていればこうなったのに。こうなっていたら今頃幸せだっただろうか。
そういった「たられば」な回想を終えて二人は現実に戻る。
最後に目が合う二人。見つめ合う目の奥にどんな思いを巡らせているのだろうか。。。ここからどうなったかは自分の目で見て感じて欲しいと思います。
そういったところも踏まえつつ、また見たい「映画」だなと思いました。
と、まぁ素人目線のレビューにしては描きすぎましたが、こんなレビューで気になった人は、是非見てみてください!きっと損はないと思います。
見るなら、映像もだけど「音」が素晴らしいので、ぜひサウンドに拘ったシアターで見るのもオススメです!
感想もお待ちしています!
それでは。
岡田 彰大


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